カメラレンズは、焦点距離の数値が大きくなるにしたがって遠くのものでも画面いっぱいに撮影できるようになりますが、一方で撮影できる範囲が小さくなってしまいます。これを、焦点距離によって撮影できる画角が決まってくるといいます。画角とは、鮮明な画像を写せる範囲を角度で表したものです。では、焦点距離と画角には、どのような関係があるのかを見てみましょう。 カメラレンズで撮影できる範囲はまるくなっています。フィルムやCCDなどの撮像素子が四角になっているので、写真画像が四角くなっているだけです。この画像が鮮明な、丸い範囲をイメージサークルといいます。イメージサークルの半径をyとし、焦点距離をfとすると、両者には、以下の関係が成り立ちます。 ここで、フィルム式カメラで一般に使われる35mmフィルムに画像を写すことを例にとって考えてみましょう。35mmフィルムに撮影できる範囲は24mm×36mmです。このとき、24×36mmの対角線である43.2mmがイメージサークルであれば、写したい画像が、鮮明に撮影できる画角に収まります。したがって、先ほどの式におけるyは、その半分の21.6mmになります。このときのθを計算していけば、焦点距離(f)と画角(2θ)が計算できるわけです。
【35mmフィルムに画像を写すことを前提とした場合の焦点距離と画角】 カメラレンズのメーカーによっては、この値ではなく、歪曲収差による画角の増減を考慮した数値を表記していることもあります。 (『体系的に学ぶ デジタルカメラのしくみ』) | |
| レンズの後側主点との画像を写す範囲が入る対角線の両端を結んだ角度を公称対角線画角といいます。レンズの画角を示すときは、通常、この公称対角線画角を指します。35mmフィルムに画像を写すことを前提とした場合、焦点距離と画角の関係は以下のようにな ります。
【35mmフィルムに画像を写すことを前提とした場合の焦点距離と画角】 カメラレンズのメーカーによっては、この値ではなく、歪曲収差による画角の増減を考慮した数値を表記していることもあります。 (『体系的に学ぶ デジタルカメラのしくみ』) | |
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しかし、撮影の対象をなるべく大きく撮影したい場合、フィルム式カメラもデジタルカメラも、対角線方向に目一杯大きく写すのではなく、縦方向か横方向に目一杯大きく写す方が自然です。そこで、カメラレンズを製造しているメーカーでは、対角線に対する画角のほかに、水平方向36mmと垂直方向24mmに対する画角も併記されている場合もあります。 カメラレンズの焦点距離を示すときには、多くの場合、この35mmフィルムに画像を写すときの焦点距離を用います。長い間、この数値をカメラの焦点距離として使用してきたために、デジタルカメラでは、実際の焦点距離の他に、この35mmフィルムに置き換えた焦点距離も併記することが一般的になっています。この35mmフィルムに置き換えた焦点距離を、35mmフィルム換算や銀塩換算と言います。 新聞でスポーツイベントの結果を知らせる写真を見ながら、これは焦点距離が何mmのカメラレンズで撮影しているのかなぁ、なんて推測してみるのもおもしろいかもしれませんね。 |